シンガポールのオフィス入居コストは昨年7?12月期に世界主要都市の中で24位となり、前期から2ランクアップしたことが、米不動産仲介コリアーズ?インターナショナルの調べで分かった。企業活動の活発化で新規リース契約などが増えたことが背景にあるとみられる。ただオフィス供給量が増加傾向にあることから、賃料の下げリスクが高まり、今後数年で大きな上昇はないとみられる。
調査は世界154都市を対象に実施した。シンガポールのオフィス入居コスト(賃料を含む入居関連費用)は1平方フィート(0.0929平方メートル)当たり年間53.71米ドルで、ランクは前期の26位から上昇。10?12月期にオフィスを移転する動きが広がったことや、景気回復を受け新規リース件数が増えたことが背景にあるとみられる。パシフィック不動産の木村登志郎社長は6日、NNAの取材に対し「国内ではマリーナ地区のマリーナ?ベイ金融センター(MBFC)などの開業を控え、金融機関を含む大手企業がオフィスを移転する動きが目立つようになった。ただ、こうした物件はすでに賃料が決まっており市況上昇につながる可能性は低い。企業の移転後に空きスペースが増え、これがさらなる値下がりにつながるとの懸念もある。今後1?2年でオフィス賃料が大きく上がることはないだろう」と話した。
シンガポールの順位は上昇したものの、ほかの都市とのオフィス入居コストの差は拡大しつつある。1位の香港(161.14米ドル)と比べると67%下回っており、差は08年7?12月期の45%から09年1?6月期の60%と徐々に広がっている。シンガポールはほかの都市に比べ、不動産市況の回復が遅いことが背景にあるとみられる。
ただ国内の入居コストの下げ幅は昨年7?12月期に前期比6.5%減となり、前期の42.3%減からマイナス幅が縮小している。中央商業区(CBD)の高級オフィスでは今年1?3月期中に前期比0.5%増の月額6.38Sドルとプラス成長を記録しており、「同国の入居コストは底入れした」(コリアーズ)とみられる。
木村社長は今後の見通しについて、「09年?12年の4年間のオフィス供給量は99?08年の10年間に匹敵するといわれる。単純に比較できないが、これだけ多くのオフィスが市場に供給されることでオフィス賃料の下げリスクが大きくなる。今後2?3年で賃料は大きく上がることなく安定的に推移するとみられる」としている。
引用元:フリフオンライン(Flyff) 専門情報サイト
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